医療戦略の本質 マイケル・E・ポータ

d0054692_21565629.jpg医療戦略の本質 - 価値を向上させる競争 -  マイケル・E・ポータ&エリザベス・オルムステッド・ティスバーグ・著/山本雄士・訳 日経BP社・刊 2,800+TAX円

ある病気を、A医師は1ヶ月治療して全治させた。B医師は2回の治療で同様に全治させた。このときの医療コスト、医師の収入、患者の支払額は圧倒的にA医師の方が多い。
 しかし、「医療の価値」と言う点ではどうだろうか。B医師の方が患者の経済的、経済的以外の負担は遙かに少ない。医療費もこのような視点で考えるべきだと著者は主張する。

 究極の医療は「病にかからないこと」なのだから。

 医療費の算出もかかったコストを積み上げていく現在の方法ではなく、トータルな医療の価値に対して支払いをすべきだと。

 著者の「医療を再定義する」と名付けた医療戦略論を目の当たりにして、 これからの医療システムの在り方を世界中で真剣に考えるときが到来した、と強く感る。

 高度な専門性、複雑性から、突っ込んだ議論が避けられてきた医療システム論だが、もはや医療システムは、医療関係者だけで解決できる領域ではなく、 全人類の知恵の集大成を惜しみなく投入してこそ対応できる 極めて複雑な領域になってしまったのである。

 この包括的な医療戦略の取り組みを参考に、 国や地域がそれぞれの特性を十分に理解し 最大限に生かした医療システムを構築することが望まれる。
 
 日本は、それができるのだろうか。
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by taketombow | 2010-06-04 22:06 | 私の本棚から  

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