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「児童虐待」 その後  日本一醜い親への手紙

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 児童虐待被害者のカミングアウト本。


 本書は、1997年に出版され話題となったが、その後絶版となった。
数ヶ月前、編集者の今一生さんから再版のお知らせを戴き予約した本が、昨日やっと届いた。
早速、紐解いたのだが、結局、数ページをパラパラッとめくっただけで、本を閉じてしまった。

もちろん、下らない云々の問題ではない。暗いのだ。余りにも暗く、救いもない。




 最近、児童虐待関連のニュースが毎日のようにマスコミを賑わしている。そして「識者」が「最近の若い親は・・」と分かったようなコメントを垂れ流す。

 しかし、私の見方では児童虐待はさほど急増はしていない。急増しているのは、その「認知件数」なのだ。「発生件数」ではない。社会の人権意識が高まり、子ども虐待を防ごうという機運が少しずつ芽生えてきたので、今まで見えてこなかったものが見えてきたのだ。考えようによっては、良い傾向の一つとも考えられる。
 同じ、或いはもっと酷いことをしても、昔は犯罪どころか虐待ともとらえられなかった。借金返済のため、娘を売春宿に売り飛ばしたら、現在はとんでもない犯罪であるが、昔は、美談とされ、戯曲にさえもなっている。


以下は以前に読んだ時のレビュー

 以前に同じ出版社から、『完全家出マニュアル』なる本が出版されたとの報道を目にしたことがある。
 そのときは、
「利益だけのためにこんな本を売り出すから、青少年の家出を助長してしまうんだ。」
と否定的な見方をしていた。しかし、この本(「日本一醜い親への手紙」)を読んだ後は考え方が変わった。

 「家出してでも良い。生きていてくれさえすれば。」
「家庭(それが「家庭」と呼ぶに値するかは別問題だが)に帰る  =親と共に暮らす ことが必ずしも幸せとは限らない」 と。

 この本は、親への憎しみを綴った9歳から81歳までの「子ども」からの手紙を、100人分収録したものだ。

多くは 児童虐待 それも親兄弟などの肉親からの、身体的暴力、精神的暴力、性的虐待、ネグレクト等々を受けた経験を、生々しく、或いは淡々と綴っている。

 子どもの時の記憶だ。「真実」とは違うかも知れない。でも、「そう感じた。そうとらえてしまった」ことは紛れもない事実なのだ。小さな頃に負った心の傷を(時には身体的な傷までも)今でも引きずって生きている。彼(彼女)らにとっては、紛れもない「事実」なのだ。

 中には、自分の今の不遇を親のせいにしている、自分勝手な手紙もある。でも、そのような「子」に育てたのは、その「親」だ。
 子どもは無論のこと大人でさえ、生きていくのが大変な時代。子どもの心からの辛さを自分の中で昇華できるのが、「大人」であることの条件なのだが、彼らにはそれが極めて困難なのだろう。

 彼らが名実ともに大人になれる日は何時やってくるのだろうか。

 彼らに心の底から伝えたい。後ろを振り返っても何も産まない!前を向いて生きろ! と。

 でも、もし自分のことだったら、そう思っていてもなかなか出来ないだろうなあ。


まもなくamazonでも購入できるようになる筈だが、部数は極めて少ないそうだ。
下記の編者や出版社に直接問い合わせた方が確実だろう。

編集 今一生 クリエーティブメディア 
http://www.createmedia.co.jp/yoyaku.html
出版 ノンカェイン・プロダクション
http://www2u.biglobe.ne.jp/~sumishi

by taketombow | 2010-07-10 10:38 | 私の本棚から  

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