こどもの安全を考える本3冊

 小さな子どもを巡る悲惨な事件が連続している。

凶悪犯罪の発生比率は60年代(我々団塊の世代の少年期)の方が圧倒的に多い(「教育不信と教育依存の時代」広田 照幸 著)が、社会構造・環境の変化により相対的に子どもの価値が高まった(?)ためか、子どもの事件・事故は殊更頻繁に詳細に報道されるようになり、社会不安も増大している。勿論、私はこの傾向を批判的には捉えていない。子どものことを真剣に考える風潮が出てきたことは好ましいことだと思うのだ。

しかし、それは本当だろうか。私たちの社会は真剣に子どものことを考えているのであろうか。建前はともかく、大人の都合だけで済んでいる部分が多すぎないだろうか。

これらを考える3冊だ。


「犯罪は「この場所」で起こる」
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小宮 信夫 著
ISBN:4334033199 光文社 刊
定価 756 (720+TAX)円

犯罪抑止のためには原因追求だけでなく、犯罪機会を減らすことを考えていこうというものである。物的環境や人的環境を整え犯罪機会を減らす社会作りを提案している。「そこに財布が無かったら盗らなかった。財布を置いた奴が悪い」「門が閉まっていれば入らなかった。門が開いていたことが悪い」的な考え方は嫌いだ。置いてあろうが無かろうが、開いていようが閉まっていようが、ものを盗ることはいけないし、他の敷地内へ無断で入ることはいけない。しかし、そう唱えているだけでは、犯罪が減らないのも事実である。社会防衛という視点からも、真剣に考える問題だ。

類書に
「子どもはどこで犯罪にあっているか」 
      犯罪空間の実情・要因・対策
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中村 攻 著 晶文社 刊
ISBN:4794964334
定価 1995 (1900+TAX)円

私の簡単なレビューはここにある。


また、直接的な「安全」に関するものではないが・・・。
子どもたちの財布を資本主義社会のマーケットが虎視眈々と狙っている。そのことを改めて考えさせられるこの一冊も見逃せない。「買うために生まれてきた子どもたち」という著者の表現もあながち嘘ではない。

こどもを狙え! キッズマーケットの危険な罠
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ジュリエット・B・ショア 著 中谷 和男 訳 アスペクト 刊
ISBN:4757211902
定価 1995 (1900+TAX)円

様々な広告,コマーシャルによって消費意欲を掻き立てられた子どもたちの「おねだり」という形の手強い「要求」のまえに,周囲の大人達はなすすべもなく立ちつくしている。周囲の大人によって満たされないことを知ると,それらを充足すべくアルバイトをしたり,一部の子どもたちは触法,虞犯行為に流れたりする。
 また,一つの消費欲求が満たされても,次々と新たなものが提示され消費意欲を掻き立てられるため,子どもたちはいつも満足することなく常に欲求不満の状態にいる。
 このような姿で良いのだろうか。このような社会の流れから自分たちの子どもを守るために,正しい消費者となるために,親としてどう行動したら良いのだろうか。
 考えさせられる一冊である。
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by taketombow | 2005-12-03 11:21 | 私の本棚から  

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