犬釘

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 年の瀬も押し詰まった大晦日、愛車の掃除をした。外側は数ヶ月に一度程度洗うが、中の掃除はしばらくしたことがなかった。後部座席も、スペアタイヤもはずし徹底的に掃除機をかけた。前の車からそのまま乗せ替えたプラスチックコンテナも、中身を放り出し整理した。そのとき、牽引ロープ、ブースターケーブル、針金、細引きとともに出てきたのがこれ。

森林鉄道の軌条を固定する犬釘だ。

この犬釘が、私の心を遙か数十年前の山行へと連れ戻してくれた。

畑薙ダム、椹島、東尾根、赤石岳、百間洞、聖岳、聖平、西沢度と歩き、フラフラになった私達をを待っていたのが、西沢渡から北又渡にかけて延々18キロに渉る軌道跡歩きだった。30キロ以上あった荷物も相当軽くなってたとはいえ、スチール製の背負子に積んだ一斗缶には共同装備の5人用のコッフェルとホエーブスが大きな顔をして陣取っていたし、ビニロン製の5人天幕は前夜の夕立を吸い込みずっしりと肩に食い込んでいた。更に北又度までは軌道が撤去されていないので、間隔が不揃いな枕木歩きは特に厭なものだった。北又度から先は林道として整備されており、本谷口までは楽に歩けたはずだが、その記憶は殆ど無い。本谷口から定期バスに乗り、飯田線の平岡駅に着く。豊橋で東海道線に乗り換え、その日の内に帰宅したはずだ。

当時、記念に持ち帰った犬釘は流石にもう無い。これは5年前に再度聖岳へ行ったとき西沢度付近で拾ったもの。
 現在は、「便が島」に登山小屋ができているという。便が島までは狭いながらも車で入ることができ、健脚者なら聖岳のピストンも可能だ。

便利になってよかったと思う反面、秘境が秘境でなくなったと言う点で、一抹の寂しさも感じる。
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by taketombow | 2006-01-01 10:36 | 私の山歩き  

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