色素増感型太陽電池

  「東京理科大の川村さんとその学生達が講師としてやってくる」
とお聞きしたので、昨日行われた私的な研修会に参加した。
 会場は名古屋市昭和区にある名古屋工業大学。
 鶴舞公園という大きな都市公園に隣接しているのだが、とにかく暑い。
 本業の仕事を済ませてから出かけたので、昼食の時間も過ぎていて、夏休みの大学は食堂も閉まっており、冷たいコーヒー一杯すら飲む場所がない。

 今回のテーマは「色素増感型」太陽電池の製作だ。
 「色素増感型」太陽電池の教材化は、十数年前、川村さんの京都教育大学附属高校教諭時代から始まり、信大助教授時代を経て現在まで、彼が継続して取り組んできたテーマの一つだ。
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 小さなセルを幾つか組み合わせることにより所定の電力を得る。上の画像は電子ブザーを鳴らしているところ。

 この太陽電池の特色は、コストが安い、製作が簡単ということだ。
 材料は 二酸化チタン(白い顔料の原料となるもの、工業的に大量に造られている)
     導電性ガラス(ガラス表面に導電性コーティングをしたもの)
     ヨウ素液(うがい用のもので十分)
     植物色素(その辺りに咲いている色鮮やかな花の汁)
 身近な材料を使って、小学生でも容易にできるという優れものだ。
1 導電性ガラスに酸化チタンを均質に薄く塗って加熱し焼き付ける。
2 もう一枚の伝導性ガラスに6Bの鉛筆を濃く塗り黒鉛の被膜を造る。
3 2を植物色素の溶液に浸し染色する。
4 良く乾燥した3と冷却した1との間にヨウ素液を数滴滴下し、長辺を金属製クリップで挟み二枚を密着させる。

 できたのが、これだ。
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 短辺に電気の取り出し口となる伝導線を付けて出来上がり。セルを3つ直列に繋げば、電子ブザーを鳴らすことができ、12個程度繋げば太陽電池用の模型自動車を動かすことができる。

「安価で製作が簡単」「薄型(フィルム)化が容易」

 こんな夢のような太陽電池なのに、なぜ実用化されていないのだろうか。

 表向きの理由は二つ
1 植物性色素や電解液としてヨウ素液を使うため、変質・乾燥し易く、製品寿命が短い。
2 起電力が小さい(発電効率が低い)
ということだ。

 しかし、本当のところは別にあるらしい。
 この基本特許が来年で切れるのだそうだ。このような安価な太陽電池を造るのに、莫大な特許料を払うことはない。特許の権利が切れるまでまとう。ということだ。
 各企業は既に研究室段階では上の二つはクリアしているようだ。来年の特許切れと同時に、色素増感型太陽電池の製品が一斉に市場に出回るだろう。
 自動車の窓ガラスを全て太陽電池にして、駐車中の換気、カーナビゲーションのデータ更新、メールの受信、バッテリーの補充電等が行われる様になる日は意外に近いかも知れない。

 「色素増感型太陽電池」の製作法に興味のある向きは、検索エンジンで調べるか、サイエンスEネットのWEBが参考になるかも知れない。また、京都市の(株)リテンでは、製作キットも扱っている。手っ取り早く作りたい向きにはこれも良い。

 花の色素といってもその中の「アントシアンニン」という成分が関係するのだが、色々花の種類を変えてみると、花の種類、花色によって発電効率が大きく変わる。

この太陽電池が実用化され、各家庭に取り付けられて、
 「今日はハイビスカスの花で発電します!」「私はアサガオにするわ!」「いやいや、やはり赤カブだね」「巨峰が良いかもよ!」

 なんという会話が聞こえたら面白いなあ。
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by taketombow | 2007-08-28 11:01 | 雑感  

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