市バス・地下鉄の車内で


 夕暮れの混んだバスでのこと。
 あるバス停から女性が乗ってきて、女子高校生の前へ立った。多分60台半ばには差し掛かっているだろう。両手には大きな荷物を持った
 それに気付いた彼女は少しの間もじもじしていたが、やがて決心し、立っている女性に「どうぞ」と小さな声で言った。すると、言われた女性は怒ったような声で「いいですっ!」と言った。多分、「年寄り扱いされた」ことに不快感を感じたのだろう。
 せっかく良かれと思って声を掛けたその女の子は、恥ずかしそうな顔をして再びその席に座った。



 やはりこれも帰りのバス車内でのこと。

 最近のバスは、ノンステップ型のバスが主流になっている。このバスは中央部に座る分には、段差がなく、乗り降りが非常に楽だ。反面、後部や最前列の座席は高いところに設けられており、二段くらい段差がある。また、通路が拡げられた分、座席は狭い。特に2人掛け席は窮屈だ。

 ターミナルにバスが到着し、バスを待つ列が少しずつ動き出し、人々が順々に乗っていく。70代と覚しき人もいるが、誰も優先席へは座らず後部の一般席から順に座席が埋まっていく。殆どが着席でき、最後に学生風の若者3人が残った。

 空いているのは優先席4人分だけだ。

 一人は周囲をちらりと見て、優先席の端っこにちょこんと座った。他の二人は、吊革を握り立っていた。

 2人掛け座席を一人で使っている人が荷物を膝の上に置き少し詰めるか、お年寄りが優先席に座れば、皆、座れる。

 帰宅時は、誰もが疲れている。



 午後6時頃の地下鉄車内。
 多分お水系のお仕事だろうか、ややケバい雰囲気の女性が座っている。その前へ、年配の男性が立った。年の頃は70歳前後だが、スーツをきちんと着こなし背筋はピンとしている。すると、女性はすっと立ち上がり、席を譲った。
 男性は、やや戸惑った表情を浮かべていたが、苦笑しながら「ありがとう」と言って譲られた席に座った。



 午後5時半過ぎ、私がバス停に向かって歩いていたら、丁度バスがやってきた。
乗り遅れないよう、小走りして、何とか間に合った。すると、やはりこのバスに乗りたいのだろうか、向こうから年配の男性が一生懸命走って来るのが視野に入った。私は、何となく緩慢な動作でバスのステップに足を載せ、バスにゆっくりと乗り込んだ。その男性も何とかバスに間に合った。
 私の一つ前の空いた席に座るとき、彼は小さな声で「ありがとうございました」とささやいた。



 朝の地下鉄。電車に乗り込むとき、入り口近くに立っている私の直ぐそばで、男の罵る声が聞こえる。見ると、若い作業服姿の男が、警備員姿の男性になにやら毒づいている。
「このじじい!・・・・・」「馬鹿野郎!・・」
 警備員の制服を着ているその男性は、60歳前後で、大きなバッグを持っている。電車に乗り込むとき、荷物がぶつかるか何かでトラブルがあったのだろうか。警備員の男性は全く相手にせず無言だったが、作業服の男は次に駅で降りるまで毒づいていた。
 これだけ毒づいて、彼は気分が晴れただろうか。言われた男性はどうだっただろうか。周囲に
居合わせた他の人々はどうだっただろうか。
 一駅の間、毒づいて、一体誰の役に立ったのだろうか。

9月16日に入手した本

これでナットク!植物の謎 植木屋さんも知らないたくましいその生き方 日本植物生理学会・編 講談社・刊 940+TAX円
欲ばり過ぎるニッポンの教育 苅谷剛彦+増田ユリヤ・著 講談社・刊 740+TAX円
スクールソーシャルワークの可能性 学校と福祉の協働・大阪からの発信 山野則子・峯本耕治・編著 ミネルヴァ書房・刊 2,000+TAX円
自殺で遺された人たちのサポートガイド 苦しみを分かち合う癒やしの方法 アン・スモーリン、ジョン・ガイナン・著 高橋祥友・監 柳沢圭子・訳 明石書店・刊 2,400+TAX円
赤とんぼの謎 荒井裕・著 どうぶつ社・刊 1,500+TAX円
脳学 アッ!いま、科学の進む音がした 石浦章一・著 講談社サイエンティフィク・刊 1,600+TAX円
モラルの回復こそ幸せの原点 大島一男・著 晃学出版・刊 1,500+TAX円
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by taketombow | 2007-09-16 01:09 | 雑感  

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