密かに「チキンレース」

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 余程の特別な事情がない限り、今どき車掌が乗っている路線バスは見たことがない。
私が毎日通勤に利用している市バスもワンマン運転だ。だから、自分が降りるバス停の手前で、降車ボタンを押す必要がある。

 このことで最近面白いことを発見した。

 車内で密かにチキンレースが行われているのだ。

レースの目的は一つ、
・自分が降車ボタンを押さないで、他の誰かに押させ目的の停留所で降車する。

自分が真っ先に押してしまったらアウト。
押さずに降りそびれたらアウト。

ギリギリに押して運転手に急ブレーキや急な操作をさせてしまったら、即、退場!

レースが成立するのは、
・複数の乗客がいつも乗降する停留所。
・学生や高齢者でなく通勤客の多い路線・時間帯。
・ほぼ全員が着席しており、立ち席の乗客がない時間帯。

に限る。

立っている乗客は、座れないで乗っていることにいらいらしており早く押しすぎるので、最初から除外。高齢者もせっかちで早めに用意をし始めるので除外。一般的な高校生は早めに押すし、体育会系の学生は大股開きで口を開けて寝ており、乗り過ごしの常連なので除外。

一番面白いのが、帰宅時のバス。

いつも、バス停から少し離れたところでタバコを旨そうに吸ってスポーツ新聞を片手に持っているノッポ氏。現場の仕事をしているのだろうか。使い古した布製のショルダーバッグを座席の下に置き、毎朝その日に飲む薬のセットを作り、帰りは窓ガラスに身を預けている親方。SPALDINGのデイバッグを背にややくたびれた黒っぽい背広に身を包み、おかっぱのようなヘヤースタイルで両肩をやや左右に振りながらせっかちに小走りに歩く若者。

これらの内の何人かが、その日のレースの参加者だ。

「降車ボタン」を押す。
ただそれだけのことなのだが、毎日のこととなると、「誰かが押すだろう」「彼奴らも降りるのに、どうして俺が押さなきゃならんのだ」という気持ちにもなってしまうから不思議だ。

目論見が外れて誰も降り無いときは、何食わぬ顔をして次のバス停まで乗ってそこで降り、歩いて戻ってくる。

勿論、こんな馬鹿げたことを考えているのは私だけだと思うが、バスの「降車ボタンを押す」だけのことで、こんなにも楽しめるので面白い。
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by taketombow | 2008-07-05 12:06 | 雑感  

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