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ADHDと愛着障害

 今、愛着障害(反応性愛着障害)に注目している。

もともと、愛着障害は、手酷い児童虐待、遺棄などで実親から養育を拒否され実親との間で「愛着」を形成できなかった子どもが、里親、養護施設職員など愛着形成者による育て直しの過程で、顕在化し愛着形成者を困惑・混乱させることで注目されるようになった、「人間関係の障碍い」だという。

それが、施設の児童でも、里子に出された児童でもなく、一見して普通の家庭の児童にも現れてきているように感じるのだ。

今、非行少年・ADHD・アスペルガーの可能性が推測されている児童生徒のかなりの部分がこの愛着障害または愛着障害との複合障碍ではないかと見ている。

 最近のニュースに登場する悲惨且つ残虐な事件の加害者たちの言動には、この愛着障害の特徴が見られるような気がしてならない。

実の親に養育されながら、なぜ愛着の形成ができないのか。

 そこには、子育てよりも現在の自分たちの楽しみを優先させる未熟で刹那的な親たちの生活姿勢、薬物依存、DV、被虐待経験、貧困、重度な情緒・精神障害等の問題が横たわっている場合が少なくない。


子どもたちを救うためには、先ずその親を救わなければならない。しかし、現実は「自己責任!」「甘えるな!」「財政再建!」のかけ声の下に、正反対の方向へ動いているのだ。

かといって、そこまで学校が担うには荷は余りにも重すぎる。


 私たち一般人が読んでも分かる愛着障害に関する書物は余りないが、私が読んで参考になった本を以下に幾つか挙げる。

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・児童相談所や養護施設で愛着を再形成するための方法論
愛着障害と修復的愛着療法―児童虐待への対応 テリー・M.リヴィー/マイケル・オーランズ・著 ATH研究会/藤岡 孝志・訳 ミネルヴァ書房・刊 6,400+TAX円



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・これも治療方法についてのべている
心的外傷を受けた子どもの治療―愛着を巡って ビヴァリー・ジェームズ・編/著
三輪田明美/ 高畠克子/加藤節子・訳  誠信書房・刊 4,000+TAX円



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・精神分析的治療法について述べたもの
被虐待児の精神分析的心理療法―タビストック・クリニックのアプローチ メアリー・ボストン/ロレーヌ・スザー・編/著 平井正三/鵜飼奈津子/西村富士子・監/訳 金剛出版・刊 3,400+TAX円



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・唯一一般人が読んでも何とか分かる入門書
子を愛せない母 母を拒否する子 ヘネシー澄子・著 学習研究社・刊 1,500+TAX円



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・「ペンギンハウス」等の養護施設の職員が泊まり込み、疑似家庭の中で育て、愛着を形成していく過程を追ったドキュメント
「愛されたい」を拒絶される子どもたち―虐待ケアへの挑戦 椎名篤子・著 大和書房・刊  1,700+TAX円



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・障がいが虐待の引き金となりそれが更に障がいの原因となるという悲しい現実
子ども虐待という第四の発達障害 (学研のヒューマンケアブックス)  杉山登志郎・著 学習研究社・刊 1,700+TAX円



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・内面を傷つけられた人は、極端な場合、犯罪や殺人など他者を傷つける行為や、自殺や薬物中毒など自滅的な行為に走り、あるいはノイローゼや心身症に陥る。これらの行動は、幼児期に受けた迫害の無意識の再現なのだ。
魂の殺人―親は子どもに何をしたか A・ミラー・著 山下公子・訳 新曜社・刊 2,800+TAX円



昔、「母原病」という言葉が流行った。子どもたちの呈する諸症状は、母親の育て方に問題があるとする名古屋市の小児科医久徳氏が著書の中で用いた言葉だ。子育てに最も多くの労力を費やす母親に、子どもの病気の責任まで押しつけるようで、私は嫌いな言葉だった。
 しかし、乳児期までの子育ての問題という観点からすれば、今なら一部は頷ける様な気もする。もっとも、「母原病」でなくても「父原病」て言っても良い場合もあると思うが。

以下に、反応性愛着障がい、注意欠陥多動障がい、双極性障がいを比較した表を貼り付ける。
愛着障害と他の障がいとを見分ける参考になるかもしれない。このブログでは表は表示できないので画像に変換してある。一部表記がおかしい部分があるのは私の変換ミスだ。正しくは出典をあたって欲しい。

クリックすれば、辛うじて読める程度には拡大表示される。
(出典 「子を愛せない母 母を拒否する子」資料編P136~P141)
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※「双極性障がい」とは従来「躁鬱病」と呼ばれていた精神疾患で、気分障害の一つだ。
ここに書かれているのは、あくまでもアメリカの幼少年期の症状に限定してのことで、社会環境が異なる日本では、合致しない部分もあるかもしれない。
 正しい情報は 日本うつ病学会双極性障害委員会のWEBから得られる。参考までにURLを記載する。
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/sokyoku/index.html

気がかりなときには、必ず専門医の診察を受け(させ)ること。素人判断は治療の機械を逸することにもなり、危険でさえある。

by taketombow | 2008-07-31 00:24 | 私の本棚から  

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