カテゴリ:私の本棚から( 48 )

 

特別支援教育のためのアスペルガー症候群の医学

d0054692_9575073.jpg榊原 洋一 著
ISBN:4054027911 学研 刊
定価 1,680(1600+TAX)円


アスペルガー症候群を説明するのに著者はうまいたとえをしている。仕事のために一心に励んでいることを「勤勉」とは言うが,馬券を買うために競馬情報誌をいくつか集めて馬の特性を調べ吟味することを勤勉とは言わない。アスペルガー症候群の子どもたちはこの区別がつかないのではないかと。DSM-Ⅳ等の判断基準や様々な解説がなされているが,本書の特徴は具体的な症例をもとに子どもたちの心の中をできるだけ分かり易くに説明している点にある。また,DSM-Ⅳに加えてギルバーグの診断基準も示しているので判断の参考になるだろう。
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by taketombow | 2005-08-27 10:00 | 私の本棚から  

螢坂

d0054692_9481461.jpg北森 鴻 著
ISBN:406212579X 講談社 刊
定価 1,680(1600+TAX)円


三軒茶屋にある不思議な何気なく入った不思議なビアバー香奈里屋。その店主工藤が時を超えた不意気世界へといざなう。香奈里屋の主人と、常連客が織りなす様々な人生模様をオムニバス形式で書きつづる。随所に出てくるおいしそうな料理と飲み物の描写も魅力的だ。 表題作はその第一話 スランプから逃れるべく中東の戦場へ赴いたカメラマンの有坂。出発前に恋人の奈津美が案内してくれた蛍坂には、小さな光がはかなげな光っていた。なくした若き日々、哀切を込めて振り返る小品。
 「失ったものは帰ってこない」
この分かり切ったことを、私はたちは何度と無く繰り返してしまい、後から悔やむ。
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by taketombow | 2005-08-27 09:49 | 私の本棚から  

コミュニケーション障害入門

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エレナ・プラント他 著 石坂 郁代 他 訳
ISBN:4469212997 大修館書店・刊
定価(2800+TAX) 円



 書名から、自閉症、ADHD等の情緒障害のことを扱うものと思い手に取った。
しかし、本書で扱うのは、そのような狭い領域だけではなかった。
コミュニケーション障害には、聴覚に原因がある「聞こえ」の障害、言語能力そのものの「言語」障害、頭の中では言語が構成されているにもかかわらず、発することが出来ない「発話」障害等がある。本書ではこれらを概括的に扱っており、将来言語聴覚士を目指す人は勿論のこと、言語に障害をもつ子どもに接する教師、保護者にとって良いテキストとなる。
 構音、音声、流暢性、言語、聴覚とそれれぞれの障害に関して児童と成人とに分けて、原因、診断、治療法に触れている。
 これだけ豊富な内容が、実に分かりやすく整理され解説されている。
 さらっと読み終わると言うよりは、一度目を通した後、手元に置き、症例に直面したとき再び調べるという使い方が出来るだろう。
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by taketombow | 2005-08-25 17:09 | 私の本棚から  

児童虐待の心理療法 必要なのは「しつけ」よりも愛情

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黒川 昭登 著
ISBN:488602548X 朱鷺書房・刊
定価(2800+TAX) 円



 児童虐待に関し、虐待をしてしまう親(母親)に着目し、その面接治療を通し問題解決のプロセスを紹介している。虐待をしてしまう親は、自分も虐待をされたり、親に受け入れられなかったりした経験を持つ。そして「あるべき姿」と「今の自分」とのギャップに悩み、そのイライラを子どもにぶつけてしまうのだ。カウンセリングによって、自分を肯定的に認め、自分の努力、気持ちを素直に表現出来るようにトレーニングをする。そして、子どもに素直に感情を伝え、受け止められるようになっていく。
 児童虐待は、まずは、虐待される子どもをその状況から救い出さなければならないが、それとともに、虐待をする側も救い出さなければならない。それを実際的に解説しているのがこの本である。
 虐待の種類、見分け方、要因等にも触れているが、この部分は他の書と大差はない。
 虐待の原因と結果、治療方法等の記述にこの本の価値があると思う。
今までとは少し異なった視点からの好著である。
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by taketombow | 2005-08-25 16:37 | 私の本棚から  

BC級戦犯裁判

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林 博史 著
ISBN:44004309522 岩波書店・刊
定価(740+TAX) 円

 戦犯にABCの区別があることは知っていた。そして、それは罪の重い順だと思っていた。だから、靖国神社にA級戦犯を合祀するなんてもっての他だと考えていた。それが違うことを知ったのはこの本を読んでからだ。1945年のロンドン協定、国際軍事裁判所条例によって
A 平和に対する罪 戦争の計画、準備
B 戦争犯罪
C 人道に対する罪
の3つが定式化されたという。いわば、A級はリーダーとしての罪、BCはその実行責任者としての罪を問うものだ。この本は、その中でBC級戦犯の裁判を検証している。何が明らかにされ、何が問われたのか。豊富な資料を基に事実を浮き彫りにしていく。
 そして、それらを通して私たちの戦争観を問いかけている。本当に避けられなかった戦争なのか、「命令だったから」といって自らの手で実行した非人道的な行為には、全く責任はないのか。天皇陛下の赤子として、大日本帝国軍人としての前に、「良識を持った一市民」として生きることはできなかったのか。「できなかった」ということで、諸外国国民に対する数多の酷い仕打ちは免責されるのか。
 この辺りに、今の日本とアジア諸国との認識の違いの原因があるような気がする。
日本の過去と現在を自己反省的に見つめるのに、最適な一冊である。
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by taketombow | 2005-08-22 15:50 | 私の本棚から  

悲しみの子どもたち -罪と病を背負って-

d0054692_13554113.jpg岡田 尊司 著
ISBN:4087202917 集英社・刊
定価(750+TAX) 円

 筆者は、医療少年院の精神科医として、罪を犯してしまった子どもたちと深く関わっている。その中から、異常な行動の根底に横たわっている問題を探る。異常な行動の中には、病だけでなく家族との離反、家庭の崩壊等の様々な問題がある。ネグレクトとも言えるほどの徹底的な放任、良かれと思っての過干渉、それらが子どもたちを追いつめ歪めていく。
 これは、医療少年院へ収容された子どもたちだけの問題ではなく、広く一般の子どもたち、私たちの子育てにも言える問題なのだ。
 それらの子どもたちに厳しく、時には優しく接し、子どもたちの心を解きほぐし、人としての温かい心の回復を目指していく。
子どもたちに対する社会、私たち大人の姿勢をもう一度問い直させられる佳作だ。

 私たちは、子どもたちを真剣に育てようとしているのだろうか?
子どもたちへ、本当に明るい未来を残せるのだろうか。  
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by taketombow | 2005-08-22 13:56 | 私の本棚から  

要約力

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轡田 隆史 著
ISBN:4072460508 主婦の友者・刊
定価(1400+TAX) 円

 最近読んだ本で、この本ほど著者に「騙された!」と感じた本はない。
書名に惹かれて読んだ。著者は元朝日新聞論説委員、TV朝日のNEWS STATIONでもコメンテーターをしていた人だ。
どうしたら「要約力」をつけることができるのか、興味をもって読み進む。「要約」するという行為が、私たちの様々な場面で行われていることは分かった。また、その大切さも分かった。でも、どうやったら的確な要約ができるのか、そこが知りたいのに分かり易く書いてない。だから読み終わっても何か物足りない部分が残る。
 「なんだまたタイトル負けか」と本を閉じたら、表紙のカバーの帯が目に留まった。そこには、

著者がすすめる「要約力」訓練法
◎新聞に掲載されている書評欄を読んで、「聞きかじり」を蓄積する。
◎失敗を繰り返さないための記憶装置として、自分のための「年表」を作る。
◎冒頭にいきなり結論を述べ、次に「何故?」を述べるのが基本。
◎見聞きしたものすべてに、こころの中で見出しをつけてみる。
◎「なぜ?」の気持ちをなくさないよう、日々、自分に対して質問をなげかける。
◎エライ人の文章ほどイチャモンをつけながら、読む。
◎テレビのニュースは、自分もコメンテーターになった気分で見る。

更に表紙カバー内側にも、要約力を身につけるためにとして 上と重複する部分も含めて9つの方法が紹介されている。

見事な程に「要約」されている。

著者に「騙された!」のではなく、私が「気が付かなかった」だけなのだが、本書はこの「要約」ですべてが語り尽くされている。

「表紙カバーだけを買えば事足りる本」では、著者に失礼かな?
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by taketombow | 2005-08-02 15:42 | 私の本棚から  

学校でこそできることは、なんだろうか

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里見 実 著
ISBN: 4811807162 太郎次郎社エディタス ・刊
定価 2,520(税込)円


 冒頭に福沢諭吉の「学問ノススメ」の一節を引用し読み説く。
「天ハ人ノ上ニ人ヲ作ラズ人ノ下ニ人ヲ作ラズ・・」人間の平等を唱ったものととらえられていたこの書を、作者は社会的不平等を正当化するものとしての見方もあることを指摘する。「本来平等であるはずの人間に格差が生まれるのは、学ぶ者と学ばないものとがあるからだ」という部分に学歴による差別を正当化する考えが伺えると。「学力」「学ぶ力」「教育」これらの意味を再び問い返し、現在の学校の果たす機能と限界を具体的に示すことをねらっている。しかし、一冊の書物の中に詰め込む内容を欲張りすぎたようで言いたいことが明確に伝わってこない。様々な教育論、教育実践等が紹介されており、作者が伝えたいそのイメージはなんとなく分かる。でも、この書名にある「学校でこそできることは、なんだろうか」に対する答えはとうとう見つからないまま読了した。
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by taketombow | 2005-07-25 13:34 | 私の本棚から  

てんかん革命―「難治てんかん」に挑む脳外科医と母たち

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大脇 游 (著)
ISBN: 4259546597   家の光協会・刊
定価(1890+TAX)円

 「てんかん」という病気への見方を根本から変える本だ。難治性てんかんの子をもつ著者がその教育・療育をめぐり、周囲の偏見と闘いながら外科的治療法に辿り着いていく。
 従来、「てんかん」は精神病と考えられていた。脳の上に発生する神経的けいれん、それを繰り返す度に脳は大きなダメージを受けていく。それを、脳梁離断、MSTという外科的手法により解決していくというのだ。
 精神・神経的領域への外科的手法というと、悪名高き「ロボトミー」手術がある。その社会的後遺症もあり、精神神経領域での治療は、長い間薬物療法が中心だった。その流れの中で、外科的治療に取り組んできたのが清水弘之医師らである。その歩みの困難さは相当なものだったと思う。
 この本に敢えて苦言を呈するとしたら、「難治性てんかん」に対して手術療法があたかも、万能のような描き方をしていることだ。もちろん、失敗例、マスコミの批判とうについても触れられているが、全体的にそのような印象をうけてしまう。
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by taketombow | 2005-07-25 10:41 | 私の本棚から  

千の風にのって

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新井 満 著
ISBN:4062121247 講談社・刊
価格:(1,000+TAX)円


 先日、偶然手に取った本。心に残る次のような詩が載っている。
それと、15枚の美しい写真。

人はいつか死ぬ。愛する人とも、大切な人ともいつかは別れの時がくる。しかし、死んだのではない、風、雪、鳥、星、光になっていつも身近で見守っていてくれる。そう考えたとき、心は少し楽になり、大切なものをなくした悲しみが少し癒される。



a thousand winds
Authorr Unknown

Do not stand at my grave and weep;
I am not there, do not sleep.

I am a thousand winds that blow.
I am the diamond glints on snow.
I am the sunlight on ripened grain.
I am the gentle autumnls rain.

When you awaken in the morning's hush,
I am the swift uplifting rush
Of quiet birds in circled flight.
I am the soft stars that shine at night.

Do not stand at ray grave and cry;
I am not there,I did not die.


 千の風になって

  私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
       千の風に 千の風になって
   あの大きな空を 吹きわたっています

  秋には光になって 畑にふりそそぐ
 冬はダイヤのように きらめく雪になる
   朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
   夜は星になって あなたを見守る

  私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません
       千の風に 千の風になって
   あの大きな空を 吹きわたっています

       千の風に 千の風になって
   あの大きな空を 吹きわたっています

  あの大きな空を 吹きわたっています

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by taketombow | 2005-07-19 16:59 | 私の本棚から