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オレ様化する子どもたち

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中公新書ラクレ171 諏訪 哲二 著
ISBN4-12-152171-3   
中央公論新社・刊   定価(740+TAX) 円

 著者は「学校崩壊」の川上亮一氏と同じ「プロ教師の会」代表。
現代の子どもは、一昔前の子どもではない。何時までも漫然と一昔前の子ども観で接しているから、様々な問題が生じているのだと。

 躾らしい躾も、教育もなされぬ儘に大きくなり、「個の尊重」「自由」だけが大手を振って通り、何ら中身のないまま(社会に関わる規範意識は幼児と同等かそれ以下のまま)、一人の「個」が確立した個人として権利を要求する。それが「オレ様化」した子どもだ。授業中の私語を注意しようものならば、この「オレ様」に注意するとは何事だと、突然キレて暴れまくる。

 私も、教師が級友の荷物を探り盗っているのを現認したのにも関わらず、本人が完全否定し保護者が子どもをかばう事例に遭遇し、唖然としたことがある。

 この本は、子どもや保護者のそのような問題点を具体例を示しながら論じている。更に尾木直樹、上野千鶴子、宮台真司、水谷修氏ら教育論についてもバッサバッサと痛快に論じている。

 「そうそう、そうなんだ」思わず相づちを打ちたくなるような箇所は随所にある。学級・学校での様々な困難の原因を、子どもたちの軽微な障害(ADHD,LD,アスペルガー等)に求めるのでなく、それまでの育ち方に求め、家庭での保護者の自覚を促している。

 しかし、読み終わってみて物足りなさが残る。

じゃあ、これから私たちはどうすればいいのか。その処方箋が描けない。

子どもは変わった。学校はなかなか変われないでいる。家庭も地域もその教育力は低下した。

それでは、だれが、なにをすればよいのか。新書版で僅か40 ページ足らずの本だが、中身は余りにも重い。

by taketombow | 2005-07-02 07:31 | 私の本棚から  

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